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1章「労働環境があぶない。」

139°east-longitude,35°-north-latitude シナガワシティ
  • t_icon_none五反田豊
  • t_icon_oi大井南
  • t_icon_ichinose一ノ瀬一馬

1話「3人の約束」

気づけば、黒中曜は見知らぬ場所にいた。
周りを見渡しても何も存在せず、ただただ白い空間が広がっている。

違和感はあったが、それよりも頭がぼんやりして動けなかった。

ここに留まってはいけないと本能でわかっていながらも、強い眠気に襲われ、瞼を閉じかける。

<???>
「――曜。曜ってば」

<???>
「早くこっち来いって。オメーが来ねぇと始まんねーだろ」

この声は――

聞き覚えのある声に反応して、ハッと顔を上げた。

<黒中曜>
「あれ…なんで、ふたりとも…」

目の前に立っていたのは、幼馴染みのツキと彗だった。

その姿を見て一瞬、嬉しさに胸が高鳴った。
しかし、それもつかの間、激しい違和感が全身を襲い、体が固まる。

なぜ、自分はこんなにも違和感を覚えるのだろう…?
曜はその正体を探ろうとした。

<八雲彗>
「はあ…やっと反応したのかよ…」

<彩葉ツキ>
「お願いだから、もうちょっと早く反応してよ。私達、ずっと曜のこと、待ってたんだよ」

どうやら、気づかぬうちに何度も声をかけてくれたようだ。
曜の抱える激しい違和感には気づかず、ツキと彗はただ呆れ顔で彼を見つめていた。

<黒中曜>
「ごめん…。なんか、頭がうまく回らなくて…」

<八雲彗>
「そういうボケボケキャラは、ツキひとりで十分だっつーの。
ほら、オメーも早く来いよ。いつもの"アレ"やんぞ」

<黒中曜>
「…いつものアレ? なんのことだ?」

<彩葉ツキ>
「えー!? 曜ってば、恒例のアレ忘れちゃったの!?」
大きな誓いは、定期的に"誓いの印"をして、ぜーったい叶えようねって言ったのにー!」

ああ、アレというのは「誓いの印」のことか。
最初からそう言ってくれればわかったのに…と内心で苦笑し、理解が及ばなかったのは自分だと片付ける。

<八雲彗>
「はあ…ほんと、今日のオメーはボケボケだな。
まっ、その内思い出すだろうから焦んなって。焦ってもいいことなんてひとつもねぇーからな」

<彩葉ツキ>
「それもそうね! だって、何百回も誓ったんだもん!」
曜がなにもかも忘れたとしても、この誓いだけは魂が覚えてるはずだよ!」

<黒中曜>
「魂が…覚えている…?」

胸のざわつきを感じて、曜は思わず呟く。

<八雲彗>
「ああ。じゃなかったらあんなところでオレ達の誓いを口走らねーだろうが」

彗は曜の肩に手を置き、軽く叩きながら言った。
その動作には、兄貴分としての包容力と頼もしさが滲んでいる。

<八雲彗>
「魂に耳を傾けろ。そしたら、自然に思い出すはずだ」
よし、ツキ。拳を出せ。曜が思い出すまで、待つぞ」

<彩葉ツキ>
「うん! 曜も思い出したら、拳を出してね!」

彗が拳を突き出すと、慣れた手つきでツキも拳を合わせた。
曜は、誓いの内容を思い出そうとするが、かえって頭のモヤは濃くなる一方で微塵も晴れる気配はない。
それでも、2人の作った誓いの形を見ていると、自分の心臓が早く鼓動するのを感じた。

――本当に魂が覚えているというのだろうか…?

唇は曜の意志とは関係なく、まるで誰かに操られているかのように、勝手に動き始めた。

<黒中曜>
「――最強のXBプレーヤーになろう。3人で…誰にも負けないくらい最強の…
これが俺の…いや、ツキと彗と一緒に叶えたい願い…」

口にした瞬間、懐かしさがこみあげてくる。きっと何度も口にしていたのだろう。
唇は滑らかに動き、これしかないという自信に心が満ちていった。

しかし次の瞬間、世界が裏返るように闇に呑み込まれる。
足元から這い上がる冷たい恐怖に、曜の体は小刻みに震えた。

<???>
「…素敵な夢だね。だけど、その夢は永遠に叶いやしない」

<黒中曜>
「…え」

後ろから聞こえたのは、甘く軽やかな男の声――

曜は反射的に振り返る。
そこに立っていたのは、ネオトーキョーを混沌に沈めた仮面の男「ゼロ」だった。

――なぜ、ここにゼロが…?
――なぜ、俺達の願いを否定する…?

恐怖が全身を縛りつける。それでも、願いを否定された悔しさが胸にぐっと込み上げた。
だが体は沼に沈んだかのように重く、指先ひとつ動かすこともできない。

ゼロは静かに間合いを詰め、抵抗できぬ曜の頬を指先でなぞった。

<ゼロ>
「意外と薄情者だね…
大事な"オトモダチ"が殺されたのをもう忘れてしまったのかい?」

<黒中曜>
「嘘だ…。だって、ふたりはそこに…」

ゼロの言葉を即座に否定する。
だが胸の奥で、わずかに揺れるものがあった。
近くにいるツキと彗が一緒に否定していることを願うも、いつまで経っても2人の声は聞こえない。

――なぜなんだ…?

怒りっぽい彗なら、こんな挑発に黙っているはずがない。
ツキだって、間違ったことを言われたら真っ先に言い返す。

なのに、なぜ反応がない…?

<ゼロ>
「嘘じゃないさ。曜が忘れたとしても何度だって俺が思い出させてあげるよ。
ほら、鮮明に思い出すんだ…。ふたりの命の灯火が消えたその瞬間を――」

ゼロが耳元で指をパチンと鳴らすと、曜の頭に電流が走った。

自分のために危険を顧みずに24シティまで迎えに来てくれた2人。
あともう少しで地上へ脱出できるところで、ゼロに見つかり、スペースツカイスリーのレーザーが彗とツキの体を貫いた。

溢れる大量の血――
約束を守ることができなかったと謝罪するツキの表情――

あれは現実だった。目の前で起きた現実だ。
体の激しい拒否反応が、それを物語っている。

<黒中曜>
「ああああああああああああッ!!! や、やめろおおおお…!」

受け入れがたい現実に、発狂した。頭を掻きむしり、声を荒げる。
叫びに呼応するように、闇が曜を包み込み、視界はじりじりと暗闇へ沈んでいった。
このままでは、自分も闇の一部になってしまうだろう。

――だけど、それでいい。
このまま死ねば、これ以上悲しまなくてすむ。
曜は、そう思った。

しかし、ゼロはそれを許さなかった。
闇に呑まれかけた曜の手を強く掴み、無理やり闇から引き剥がす。

なぜ、ゼロがそんなことをしたのかはわからない。
けれど、そこで曜の意識はぷつりと切れた。

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  • YO KURONAKA 黒中 曜

    誕生日

    9月6日

    身長

    171cm

    playtime-minutes_x_birthday

    取り戻すんだ... 必ず!

    本作の主人公。
    メグロシティで幼馴染み達とXBを楽しむ日々を送っていたが、ゼロに記憶を奪われ、24シティに閉じ込められていた。落ち着いた性格で「クソ真面目」とも評される一方、仲間のためには熱くなることもある。

    playtime-minutes_x_birthday
  • TSUKI IROHA 彩葉 ツキ

    誕生日

    3月8日

    身長

    158cm

    彩葉 ツキ

    最高速度で... かっ飛ばすよ!

    明るく少しお節介なムードメーカー。
    いつも幼馴染みの曜と彗を気にかけ、また3人でXBを楽しめる日を夢見ている。甘いものが好きで、とくにプリンに目がない。

    彩葉 ツキ
  • SUI YAKUMO 八雲 彗

    誕生日

    7月16日(仮)

    身長

    185cm

    八雲 彗

    俺らの邪魔 すんじゃねぇよ!

    曜とツキの兄貴分。
    短気で口が悪く誤解されがちだが、根は優しく面倒見がいい。実は方向音痴で、ひとりにするとすぐ迷子になる。

    八雲 彗
  • KAZUKI AOYAMA 青山 カズキ

    誕生日

    5月18日

    身長

    174cm

    青山 カズキ

    懲りない お猿さん達だね

    トラッシュトライブの創設者のひとりで、ブレーン役。
    辛辣な毒舌家だったが、Qと行動をともにしてから幾分マシになった。
    猫が好きだが、なぜか懐かれないのが悩み。

    青山 カズキ
  • 誕生日

    9月26日

    身長

    192cm

    Q

    罪に裁かれる、 その日まで

    カズキと行動をともにする、謎の青年。
    その外見から恐れられることが多いが、穏やかで思いやり深い。
    いつか巨大なサボテンを育てるのが夢。

    Q
  • ZERO ゼロ

    誕生日

    0/0(仮)

    身長

    179cm(仮)

    Zero

    最高の ゲームをしよう

    ネオトーキョーを混沌の渦に貶めた「まおう」
    「統治ルール」と呼ばれるデスゲームを都市の住民達へ強要し、とりわけ曜に固執している。
    ときに、ブサイクなぬいぐるみの姿で現れることも。

    Zero
  • KAZUMA ICHINOSE 一ノ瀬 一馬

    誕生日

    1月2日(仮)

    身長

    179cm(仮)

    height_x_birthday_x_ShinagawaStations-longitude-degrees_x_latitude-degrees

    私こそが、 ナンバーズ1だ

    ナンバーズのひとりで、ゼロを崇拝している。
    端正な顔立ちだが、シナガワシティの「社長」として横暴に振る舞い、部下達に常態的なパワハラを加えている。

    height_x_birthday_x_ShinagawaStations-longitude-degrees_x_latitude-degrees
  • TSURUKO SEMBA 千羽 つる子

    誕生日

    11月1日

    身長

    150cm

    千羽 つる子

    説明なら、 私にお任せを!

    元ブンキョウトライブの文学少女。
    自らを「ネオトーキョーの生き字引き」と称する説明好き。
    恋愛経験はないものの知識は豊富で、カップルを見かけるたびに妄想を膨らませている。

    千羽 つる子
  • HYAKUICHITARO SENJU 千住 百一太郎

    誕生日

    1月26日

    身長

    151cm

    千住 百一太郎

    漢ってやつを 見せてやるぜ!

    アダチトライブのリーダー・千住百太郎の弟。
    兄を尊敬しており、いつか兄のようなでかい漢になるのが夢。年少ゆえに、兄やその仲間達からの心配の連絡が絶えない。

    千住 百一太郎
  • EIJI TODOROKI 轟 英二

    誕生日

    12月1日

    身長

    169cm

    轟 英二

    貧乏人は 失せろー!

    セタガヤシティで有数の事業家にして資産家。
    何かと貧乏人を見下す嫌味な成金で、見た目に反して動きは機敏。
    トラッシュトライブの活動資金は、すべて彼の拠出による。

    轟 英二
  • KOISHI KOHINATA 小日向 小石

    誕生日

    5月5日

    身長

    164cm

    小日向 小石

    怪我の手当てなら 僕に任せて

    医療の心得がある、心優しき少年。
    誰かを守りたい一心で、謎の生物「ビースト」とともに戦う。
    格ゲーを嗜み、平穏だった頃は、ランカーとして名を馳せていた。

    小日向 小石
  • YUTAKA GOTANDA 五反田 豊

    誕生日

    4月10日

    身長

    185cm

    五反田 豊

    我が社の技術を 披露しましょう

    元シナガワトライブのリーダー。
    XBギアの開発を軸に事業領域を広げるべく、G&Oカンパニーを設立した。
    胡散臭い営業スマイルの奥に、情熱と部下への思いやりが宿る。

    五反田 豊
  • MINAMI OI 大井 南

    誕生日

    12月22日

    身長

    167cm

    大井 南

    出資の話なら 歓迎です

    五反田の秘書。
    クールなビジネスパーソンで、ロボット学に精通。
    可愛いものが好きで、戦闘時に運用する人型ドローン「トゴッシー」は、設計からデザインまで手掛けている。

    大井 南
  • ENOKI YUKIGAYA 雪谷 えのき

    誕生日

    10月15日

    身長

    162cm

    雪谷 えのき

    お腹すいたー。 ご飯ー

    元オオタトライブの野生児。
    常にお腹を空かせており、何でも口にする悪食。
    廃材やゴミから何かしらを開発する生来の天才肌で、正規の教育を受けていれば稀代の学者になったのでは、という噂がある。

    雪谷 えのき
  • ROKU SAIGO 西郷 ロク

    誕生日

    6月9日

    身長

    192cm

    西郷 ロク

    …仕事か?

    元傭兵の無口な巨漢。
    えのきに懐かれており、オオタトライブが解散した後も行動をともにしている。
    銃器も扱えるが、殴ったほうがコストがかからないため鈍器を好む。

    西郷 ロク
  • MIU JUJO 十条 ミウ

    誕生日

    9月24日

    身長

    168cm

    十条 ミウ

    あまり構わないで

    元キタトライブのミステリアスな女性。
    ジオウに求愛されているが、冷淡に突き放している。
    犬全般が好きで、犬を見かけるとつい目で追う。

    十条 ミウ
  • JIO TAKINOGAWA 滝野川 ジオウ

    誕生日

    4月22日

    身長

    185cm

    滝野川 ジオウ

    ああ…! ミウ…!

    元キタトライブのキザで紳士な青年。
    ミウに惚れており、日頃から熱烈な愛を語っている。
    理由は不明だが毒の扱いに長け、じわじわと相手を苦しめる戦い方をする。

    滝野川 ジオウ
  • SANTARO MITA 三田 三太郎

    誕生日

    3月30日

    身長

    150cm

    三田 三太郎

    俺がミナトの エースだ!

    ミナトトライブのエース。
    スケベな三枚目で調子に乗りやすいが、後輩の面倒見がよく、いざというときに頼れる兄貴分。
    トラッシュトライブには女性陣が多いため、セクハラになりかねない言動は控えている。

    三田 三太郎
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目次

  1. 0章「もう、勇者したくない。」
  1. 1章「労働環境があぶない。」
  1. 2章「彼の中のケダモノ」