12話「説教」
数分後――
そこには、正座をさせられている子ども達がいた。
<千羽つる子>
「それでは、なんでこんなことをさせられているか分かりますか?」
<子どもA>
「オレ達が、オバサン達を――」
<千羽つる子>
「は?」
<彩葉ツキ>
「ごめんだけど、最初から言ってもらっていい?
ちょっと聞こえづらくてさー」
<子どもA>
「お姉さん!!!
僕達は、園田に言われて"お姉さん"達を騙しました!!!」
<子どもB>
「お姉さん達には、酷いことをしました! 心から反省しています!」
女性陣が相当恐ろしかったのだろう。
子ども達からは、先ほどまでの不遜な態度が嘘のように消え失せていた。
無論、曜達――男性陣も恐ろしさを感じていた。
だが、ここで余計なことを口にすれば、自分達にまで飛び火しかねない。
そのため、男性陣はただ黙って成り行きを見守ることしか出来なかった。
<西郷ロク>
「オマエ達…オオタの人間にしては、頭が回るな…」
<雪谷えのき>
「わっかるー。
ふっつーのオオタの人間って、もっとバカだよねー?」
<旭川カイ>
「ヒャハハハハ! もしかしたら、川沿いのガキじゃね?」
<子どもC>
「そ、そうですけど…それが…?」
<黒中曜>
「川沿いって何だ?」
<羽田清死郎>
「オオタシティとセタガヤシティの境に、川があるんだ。
オオタシティの大半は荒れ放題の街だが、セタガヤシティに近い川沿いは高級住宅街でな。
金持ちが私兵を雇って警備してるから、スラムの人間は近づくこともできない」
<西郷ロク>
「オオタシティに存在しているが、まったくオオタではない。それが川沿いだ」
<青山カズキ>
「ふーん。人が出入りしづらいってことは、そこに園田の工場がある可能性が高いね。
どうする? 市之助くん達でも呼んで、拷問でもしてもらう?
きっと彼ら、園田の工場の場所まで知っているはずだよ」
<十条ミウ>
「ちょっと…この子達、まだ幼いのよ…。
そんな物騒なこと、言わないで…」
<青山カズキ>
「でも、これが一番効率がいいよ?
情けをかける相手でもないし、とっとと吐かせちゃおうよ」
<滝野川ジオウ>
「…ああ、それが一番手っ取り早い」
<子どもA>
「~~~っ!」
カズキは、爽快に笑い、その言葉に呼応するように、ジオウが静かに子ども達へ歩み寄っていく。
子ども達は、自分達にこれから何が起きるのかを察したのだろう。
恐怖に顔を引きつらせ、ぶるぶると震え始める。
<轟英二>
「おい、待て。
川沿いの人間であれど、こいつらは、オオタの人間だ。
もっと、手っ取り早い方法があるだろう」
そう言うと、轟は子ども達へ近づいていくジオウを遮るように、その前へ立ちはだかる。
<轟英二>
「園田の倍は出そう。
これで、園田の工場の場所を教えてくれないか?」
轟は普段から持ち歩いているアタッシュケースを開くと、中から一束の札束を取り出し、子ども達へ差し出した。
<子どもB>
「すっげー…こんな額、初めて見た…」
<子どもA>
「な、なんでこんな大金持ってんだ…!?
オオタで、こんなに金持ってるやつ、見たことねぇって!」
<轟英二>
「僕は、やり手の実業家だからな。金から寄ってくるんだ。
それでどうする?
園田と僕。どっちについたほうが、得になるか秒速でわかるだろ?」
<子どもC>
「な、なあ…どうする…?」
<子どもA>
「そんなの金払いがいいほうにつくに決まってんだろ!」
<子どもB>
「園田は、川沿いによく出入りしてるけど、工場があるのは別の場所だよ。
詳細な場所は、スマホに位置情報送っておくから、そっちで見てもらっていい?」
<黒中曜>
「あ…ああ…」
子ども達は慣れた手つきでスマホを操作すると、周囲にいる曜達へ園田の居場所を示すGPS情報を送ってきた。
一同は子ども達と別れると、地図に記された場所を目指した。